ミル*キス
もう、恋人確定だな。

オレはうつむいて、意味もなくアスファルトを靴のつま先で蹴ったりしていた。


「あのっ……でもっ」


自分のことでもないのに、泣き出しそうな顔をしてミーコがオレの顔を覗き込む。


「わかりませんよ! まだ恋人って確定したわけでは……」


「ええって。なぐさめんでも……。男の部屋で料理するなんて、普通に考えて、そういうことやろ」


「でもでも! たっ、例えば、お兄さんとか……」

「名字違うし」

「あっ、あっ、じゃぁ……えーとイトコとか?」

「無理があると思うけど?」

「違うんです!」


急に大きな声を出したミーコは、オレの腕をつかむ。

だけどそれは無意識な行動だったようで、「あっ……」と呟いてすぐに手を放した。


「何が?」

「あのっ、あたし、前にスミレさんに『彼氏いるんですか?』って聞いたことがあるんだけど……。その時、スミレさん『いない』って言ってたんです」

「適当にウソついたとか?」

「それはないですよ! スミレさんがあたしにウソをつく理由がないじゃないですか!」

「まぁ、たしかに……」


そういえば、オレが以前聞いた時も、最後に彼氏がいたのは3年前だって言ってたっけ。


「だから!」

「だから?」

「ちゃんと確かめた方がいいです! ね?」


すがるような目でオレを見つめるミーコ。

なんでオレ以上にこいつが熱くなるんだ?

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