ミル*キス
桂木はチアキ君の腕をひっぱった。


「ほらっ。行くぞ」


「え~」


チアキ君はなごりおしそうな顔でスミレを見つめる。


「いいから。ほらっ」


そう言って、さらにチアキ君の腕をひっぱり、去っていこうとする桂木にスミレが声をかけた。


「ねぇ……ちゃんとご飯食べてるの?」


スミレは桂木の押していたカートを見ている。


その中には、インスタントやレトルト……それから缶詰やお菓子、飲み物類などが山のように入っていた。


桂木は慌ててカートを背後に隠した。


「あ、今日はたまたまだよ。最近は頑張って自炊したりもしてるんだ」


「……」


「じゃ、オレらはこれで……」


軽く手を振ると、桂木とチアキ君はレジの方へ行ってしまった。


その後姿をスミレはじっと見つめている。


オレは彼女の顔を覗き込む。



「……気になる?」








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