ミル*キス
「あ……男の人も一緒に」


後から駆けつけたのは、母と相沢さんだ。




「その後、救急車が到着して。それを見届けてから『もう、大丈夫かな』って思って、その場を去ったの」


「そっか」


ということは、あの時、だれもスミレには会わなかったってことか。

第一発見者のフジさんでさえも。


途中から記憶があいまいなのは、熱のせいだったんだな。


「オレ、あの時、自分が話したことは覚えてるねんけど。
スミレがどんな話をしてくれたかは、思い出されへん。
何かをしよう……って言われたような気がするんやけど」


スミレはしばらく考え込む。


「……そうだっけ? あたしは……」


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