ミル*キス
「たいした話はしてなかったと思う。自分でもよく覚えてないぐらいだから」


そして何かを思い出したかのように「あ……そうだ」と呟いてオレの胸から顔を上げた。


「ねぇ。ちゃんと勉強してるの?」


「へ?」


急に話題が変わったことにオレは驚く。


「予備校も、行ってないでしょ?」


「はは」と笑ってごまかそうとするオレの耳をひっぱる。


「真面目に聞いてよ。
お願い。受験生なんだから、ちゃんと勉強して? 優先順位を考えてやるべきことをやって?」


「優先順位かぁ……。それなら、オレにとっての一番は、今かな……」


彼女の体をベッドに押し付けて、上から顔を覗き込む。


顔を近づけて、キスしようとしたらスッと避けられた。


「もー。はぐらかさないで」


文句を言う彼女の首筋に唇を這わす。

キスを避けても、こっちが隙だらけなんだっつの。


「やっ……」


慌てて抵抗しようとする彼女の手首を押さえつける。


「もう一回……ヤリたくなってきた」


耳元で甘く囁く。


「だからっ。そういうことでごまかさないでっ」


彼女の体がビクンと動く。

オレの指が胸に触れたから。


「やぁ……」


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