ミル*キス
「……ゴホッ……ゴホッ……」


とりあえず近くのベンチに腰掛ける。


座ったとたん、体の重さを実感した。

相変わらず頭も痛いし、さらに寒気もしてきた。

熱が上がってきたようだ。


やばい。

本格的な風邪の症状だ。


台風も近づいてきているみたいだし、これは映画どころじゃないかもな……。


そう考え始めた時、携帯が鳴った。



「もしもし……ゴホッ」


《あっ! サトシ君? ごめんねっ》




電話の向こうから聞こえてきたのは、スミレの申し訳なさそうな声だった。

< 252 / 276 >

この作品をシェア

pagetop