ミル*キス
何度も謝ってから、スミレは電話を切った。


オレも体調悪いんだけど……

なんて子供じみた言葉が何度か口から出そうになったけど、なんとか飲み込むことができた。


ホントの子供には適わないよな……。


「ゴホッ……帰るか」


よいしょ……と、重い腰を上げた。



地元の駅につくと、本格的などしゃ降りになっていた。


真横から風が吹くもんだから、持っていた傘は何の役にも立たなかった。


まるで頭からバケツで水をかけられたような状態。


靴の中にも水が入って、ただでさえ重い足がさらに動きを鈍くする。


それでもなんとか家にたどり着いた。




「ああっ、クソッ。ベタベタひっついて気持ち悪いっ」


玄関で服を脱いで脱衣所に直行。


洗濯籠の中に脱いだ衣類を投げ入れてタオルで体と頭を拭く。


シャワーでも浴びたい気分だったけど、それすら億劫に感じるほど、体がダルかった。



そのまま自分の部屋に向かう。



さすがにこの体調で上半身裸はヤバいと思った。


ハーフパンツとTシャツに着替えて、ベッドにもぐりこんだ。



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