ミル*キス
風邪薬の瓶。

それからその横には手書きのメモ。

ミーコの文字だ。


【風邪、ひどくなってませんか?
ちゃんと服着て、温かくして寝なきゃダメですよ!】


……あいつ。


オレが風邪ひいてるの気づいてたんだな。

今朝ちょっと会話しただけなのに。


「ほんまにあいつ、口うるさいオカンみたいやな」



ミーコが用意してくれた薬を流し込んで


リビングのソファに倒れ込んだ。


もう階段を上るのも億劫だった。


布団に包まって、このまま寝てしまおうと目を閉じかけたその時……


バキバキって、一瞬空が割れたんじゃないかって錯覚するような大きな音とともに、地響きがした。


どこかに雷が落ちたようだ。


と同時に、目の前が真っ暗になった。



「は?」



何これ?



まさかの停電?




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