ミル*キス
スミレ……


今何してるんだろう。


今もチアキ君の看病をしてるのかな。



桂木も一緒にいるの?

オレ……電話していいのかな?



オレも風邪ひいてんだ……って言ったら彼女はどうするだろう。

恋人の危機に駆けつけてくれる?


って……。

――“恋人”?


そのキーワードにハッとする。


今まで無意識のうちに避けていた現実に直面した気分。


だいたいオレらの関係って何なわけ?


お互い、今まで一度もはっきりと「好き」だとか「つきあって」とかそういう言葉を口にしたことがないんだ。


いや、こういうのよくあることだろ……ってあまり気にしたことなかったけど。


中坊じゃあるまいし、「つきあってくれ」なんていちいち宣言しなくてもわかるだろ?


そう思っていた。


だけど、今になって急に不安になる。

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