ミル*キス
「……ハッ」


ため息みたいな笑い声が口から漏れた。

今まで散々逃げ回ってたくせによく言うよ。


これこそオレが望んでいた付き合い方じゃないか。


はっきりと言葉にせず体の関係を持って、おいしいところだけつまみぐい。


そうやっていつも女の子と遊んできただろ。



今ならわかる。

トモミさんがエッチする前にオレの気持ちを確認してきたことが。


そうだよな。


手に入れたいのは体じゃなくて相手の気持ちなんだよな。



オレはどうなんだ?

スミレの心を手に入れることができているのか?



くそっ


なんでいつもこんな不安なんだよ……。



「……スミレ……」


暗闇の中、力なく彼女の名前を呼んだ……その時。





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