ミル*キス
オレは夕方の出来事を説明した。

チアキ君の看病のために、スミレがオレとのデートをキャンセルしたことを。


「頭ではわかってるねん。こんなことで拗ねるなんて小学生以下や。でも、時々、わがまま言って、彼女を独占したくなる。オレだけのものになって欲しいって。例え、昔からの知り合いでも、他の男に優しくなんてしてほしくない……って」


オレはミーコに、桂木とスミレの関係についても説明した。

東京にいた頃の知り合いだったこと。

こちらにきて偶然出会い、スミレが桂木親子の食事の世話などをしていたこと。



「なんかわからんけど……。めっちゃ不安やねん。あの親子に必要とされたら、スミレはあっちに行ってしまうんちゃうかって……。いや、それ以前に、桂木とスミレには過去、何かがあったんちゃうかって思ったりしてる。
東京にいた頃、二人に何があったんやろう……とか勝手に妄想して、ひとりで落ち込んだりして。オレって、こんなちっちゃいヤツやったっけ?って自分でも情けなくなる……」


ハァとため息をついて、両手で顔を覆った。

その時、ずっと黙ってオレの話を聞いていたミーコが口を開いた。



「あの映画……って、結局どうなったんでしょうね」


「え……?」

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