ミル*キス
「はぁ?」


驚きを隠せないオレは思いっきり眉間にしわを寄せ、すっとんきょうな声をあげた。

その途端、ネコ娘はハッとして、慌てて両手を顔の前で振る。


「ちがっ……違うんです! まっ、間違えましたっ。あの……そうじゃなくて。えーと……お友達。そう、お友達になって……もらえませんか?」


いや、今さら否定しても。

もう遅いやろ……。




ぶっちゃけ、今まで何度も告られてきたけど……


こんな恥ずかしい思いをさせられたのは初めてだ。


――見られてる。

めっちゃ見られてるし!


店内にいる誰もがオレの出方に注目してる。


さっきからチラチラとこちらを見る客の視線が刺さって痛い。


テーブル席についているオバチャン4人組を睨むと、慌ててサッと視線を逸らしやがった。

でも、絶対聞いてる。

聞き耳をたてて、こちらの様子を伺っている。



ハズい……。


なんやねん!!


なんでオレがこんな恥ずかしい思いをさせられなあかんねん!!

今日はやっぱり厄日か!!

あー、やっぱダルい。


すべてがダルい。


そう思ったオレは何の罪悪感も感じることなく、答えた。





「無理です」
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