ミル*キス
「だからいつも言ってるやん。『一度ぐるっと頭で整理してからしゃべりなさい』って」


横からルウさんが突っ込んだ。


「この子、後先考えずに好きになったらすぐに告るねん。で、いつも振られるねんなぁ」


「5戦5敗……ぷっ」と吹き出すオレをネコ娘はキッと睨んだ。


ちょっと涙目になってるけど。


「それ、言わないでくださいよぉ……。これでも結構へこんでるんですよ?」


そして、ふにゃあと崩れるように体を倒し、カウンターに頬をつけた。


「あ~。言わなかったら良かったぁ。時間を元に戻したい……。穴があったら入りたい。絶対、痛い子……って思われてるし」


「痛い子……。たしかになぁ……。ええ病院紹介したろか?」


わざとらしく同情するような表情をしたオレを、ネコ娘はまた睨む。


「うわーん。わかってるけど、人から言われるとなんか傷つく……。ていうか、病院て。ブラックすぎますよ! 全然笑えませんよ! 客に向かって暴言吐きまくりじゃないですか! ルウさーん」


ダンダンとカウンターを拳で叩いて、ルウさんに訴えてみるものの、ルウさんからはさらりと交わされる。


「……ネコちゃん、撃沈やな」



「ネコ?」



心の中で勝手にネコ娘なんて呼んでたけど、ホントにそんな名前なのか?


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