ミル*キス
「え? あ、いや。10代と20代ってそんなに違います?」


焦って適当な言葉でごまかそうとすると、スミレさんは自分に言い聞かせるように静かに答えた。


「うん、違うよ。多分ね……。あ……やっぱ、そんなに変わらないかな……」


「って、どっちやねん!」


ケラケラ笑いながら突っ込むと、

スミレさんはちょっと恥ずかしそうにうつむいて、またほんの少し口元を緩めた。


――あ、照れてる。


彼女の表情が変わるたびにちょっとだけ得した気分になるのは何故なんだろう……。

なんか“良いもの見た”みたいな気分になる。


そういえば、スミレさんはいくつなんだろう。

ふとそんな疑問が頭に浮かんだ。


また10年前の記憶をたどる。

あの時、彼女は制服姿だった。

もしもあの時、高校生だとしたら……今は26か7?

それとも28?



歳も気になるけど、彼女の言葉もちょっとひっかかっていた。


「あの……スミレさんて、大阪の人じゃないんですか?」


「え?」
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