ミル*キス
「え?」


オレのストレートな質問に、彼女の肩がビクンと震えた。


「オレ……記憶があいまいで……実は途中からほとんど覚えてないんです」


「……途中から?」


「スミレさん、あの時、オレにミルキーくれたでしょ?」


「ミルキー……」


「オレ、なぜかその後から記憶がプツンって切れてて……」


「思い出せないの?」


「はい」


「そう……。覚えてないんだ……」



スミレさんは何かを考え込むようにうつむいて、それからまたスッと顔を上げた。


「あの日は、大阪にいる祖父に会いにきてて……それで……」



スミレさんは小さく「あ……」と呟くと

彼女のおじいさんのことを説明してくれた。

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