ミル*キス
ラファロで働きだしてから3日目。

店の様子もなんとなくわかってきた。


ここは本当に常連客ばかりがやってくる。


みんなほとんど顔見知りのようだ。


目の前のミーコとルウさんも、ここんとこ毎日やってきては、まるで我が家のようにくつろいでいる。



オレはといえば、本来仕事は6時からだからその15分前ぐらいにくればじゅうぶんなんだけど……。


「慣れないから不安だ……」なんて適当な理由をつけて、結局1時間前の5時には入るようにしている。


ホントの理由は


もちろんスミレさんに会うため。


ちょっとでも彼女に接触したくて……なんて、下心アリアリなんすけど。


彼女が店を出るまでの1時間がオレにとってはかなり貴重な時間だったりする。

といっても、仕事中、オレとスミレさんの間には事務的な会話以外、ほとんど無かった。



「あ、オレやりますよ」


食器を片付けようとしていたスミレさんに声をかける。


「ありがとう。じゃ、お願い」


表情を崩さずそれだけ言うと、スミレさんはすっと目をそらす。


うー……ツレない。


でも、そんな風にされると余計に興味が湧いちゃったりして。

あれ?

もしや、オレってM?

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