ミル*キス
できるだけ声をひそめたつもりだったんだけど、どうやら漏れていたようだ。


ルウさんとミーコが「いきなり何を言うんだ!!」とでも言いたげな、ギョッとした目をオレに向ける。


当の本人は、わけがわからないといった感じでキョトンとしてる。


「え? 何を?」


ちぃちゃんの無垢な反応に、

カウンターに片肘ついていたルウさんの体がズルッてすべった。



オレはクスクス笑う。


「いや、いいねん。ヤッてないならいいねん」


「何のこと?
 やった……って。え……ええ!」


そこでようやく気づいたのか、ちぃちゃんの顔が真っ赤になった。


「もぉ~……サトシくん……」


そう呟いて、両手で顔を隠してしまった。


そうか。

ちぃちゃんはまだ処女か。


付き合って3ヶ月だっけ?

アイツ、まだ手ぇ出してへんねんな。



相変わらずヘタレやな……。


なんて考えてにやけていたら、シィがトイレから戻ってきた。
< 67 / 276 >

この作品をシェア

pagetop