ミル*キス
最初は唇だけ。


それからじっくりと攻める。


舌先がスミレさんのに触れた。


――熱い……。


お互いの舌を絡ませる。



店内では相変わらずジャズが静かに流れていた。


「……ん……」


その音に混じって、時々彼女の口から悩ましげな息が漏れる。


どれだけ深く口付けてもまだ足りない気がする。


もっと欲しくなる。


求める……。


求める……。



脳天までしびれる、甘いキスに夢中になっていたその時……


――カランコロン

背後でドアベルの音が響いた。




咄嗟に体を離したオレたち。


振り返ると、入り口には、女の子が呆然とたたずんでいた。





「……ミーコ」



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