ミル*キス
「あ、あの……」


ミーコは明らかに動揺した様子でオレからパッと目をそらした。


「あたしっ。あの……学生証……なくしちゃって……。ひょっとしてここかなぁ……って思ったんですけど。あ、ないですよね?」


真っ赤な顔で早口にまくしたてると、ペコリと頭を下げた。



「あのっ。ごめんなさいっ」



なんの“ごめんなさい”だっつーの。

キスしてるとこ見られたかな?


あの位置からだったら、はっきりと見えたわけじゃないと思うけど。


それでもオレとスミレさんが今何してたか……ぐらいの想像はつくか。



くるりと向きを変えて帰ろうとしたミーコをスミレさんは「待って」と呼び止めた。
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