ミル*キス
スミレさんはエプロンのポケットに手を突っ込む。
「学生証なら床に落ちてたよ。掃除してる時に見つけたの」
ミーコとは対照的だと思った。
顔色一つ変えない。
声のトーンも落ち着いたものだった。
まるで今まで本当に掃除だけをしていたかのようだ。
スミレさんは入り口付近で固まっていたミーコに近づくと、彼女に学生証を手渡した。
「……あ……ありがとうございますっ」
ミーコは頭を下げると、逃げるように外に出て行ってしまった。
またドアベルの音が響き、ドアがパタンと閉じられた。
それを確かめるようにしばらく待ってから、スミレさんはゆっくりとオレの方へ振り返った。
「後はもういいから。アナタも帰って」
「え?」
さっきまでのキスは夢でも見ていたのだろうか。
そんな風に思ってしまうぐらい、スミレさんの態度はいつもと変わらなかった。
おそらくこれ以上オレがそばにいることを許してはくれないだろう。
また壁を作られてしまった。
「わかりました。じゃ、お先に失礼します」
「学生証なら床に落ちてたよ。掃除してる時に見つけたの」
ミーコとは対照的だと思った。
顔色一つ変えない。
声のトーンも落ち着いたものだった。
まるで今まで本当に掃除だけをしていたかのようだ。
スミレさんは入り口付近で固まっていたミーコに近づくと、彼女に学生証を手渡した。
「……あ……ありがとうございますっ」
ミーコは頭を下げると、逃げるように外に出て行ってしまった。
またドアベルの音が響き、ドアがパタンと閉じられた。
それを確かめるようにしばらく待ってから、スミレさんはゆっくりとオレの方へ振り返った。
「後はもういいから。アナタも帰って」
「え?」
さっきまでのキスは夢でも見ていたのだろうか。
そんな風に思ってしまうぐらい、スミレさんの態度はいつもと変わらなかった。
おそらくこれ以上オレがそばにいることを許してはくれないだろう。
また壁を作られてしまった。
「わかりました。じゃ、お先に失礼します」