ミル*キス
「だって、毎日ラファロでケーキ食ってるやん。そら太るやろ」


からかうようにそう言うと、ミーコは文句を言いたげにオレを睨んだ。


「うっ……。わ、わかりましたよぉ。今度からケーキはやめます! クッキーにします!」


「って、あんまり変わらんと思うけど」


「え? そうなんですか? ケーキよりはカロリー控えめじゃないですか?」


「そうなんか? っていうかさ。お前、小遣いいくらもらってんの?」


「え?」


急に話題が変わったことに、ミーコは驚いたような顔をした。


「毎日ラファロに通って、ケーキ食って、飲みもん飲んで……って、高校生にしたら結構大変ちゃうの? 金かかるやろ?」


「それって……」


ミーコの声のトーンが下がった。


「遠まわしに『来るな』って言われてる気がする……」


ヤバイ。

そう思った瞬間、ミーコの足が止まった。

大きなネコ目が街灯に照らされて潤んでいるのがわかった。


「あたしがお店に来るのって……やっぱり迷惑なんですか?」

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