ミル*キス
今度は真っ暗ではない。

陽が沈むちょっと前……って感じ。


薄暗いけど視界は利く。


だけど、変化したのは暗さだけではない。


寒い。

あれ?

今って夏じゃなかったっけ?


振り返ると、さっきまで緑の葉に覆われていたクヌギの木には葉っぱ一枚残っていなかった。


――冬だ……。


そう思って両腕をさすると、いつの間にかオレも冬物の服を着ていた。

ただし、ニット姿。


コートは羽織ってなかった。


寒っ。


ブルっと身震いして、ビニールシートの中に入る。


ヒミツ基地は畳2枚分ぐらいのスペースだった。


中に入った途端、オレは足を止めた。

ヒミツ基地の奥で黒い人影が動いたからだ。

シィ……じゃない。


「誰……?」


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