キスしないと出られない部屋


 こんなにも近い距離で、先輩の顔なんて見たこと無い。

 髪の毛はサラッサラだし、やっぱりキレイな顔をしてる。鼻筋通ってて、高い。目は……奥二重なんだ。でも、まつげ長い。瞳は、茶色がかってて、ちょっぴり、日本人離れしてる気がする。

「……そんなに見る?」

「っ、す、すみませんっ。見つめ合う……ってことを提案したので」

 先程まで余裕たっぷりに見えた先輩の視線が、少し落ちた。

 先輩、もしかして……?

「ドキドキ、してますか?」

「後輩なのに、生意気」

「す、すみません……」

「でも、当たってるよ」

 クス、とまた笑われる。褐色の肌でも、頬が赤くなっているのが分かった。

「……一旦やめようか」

「えっ……」

 もしかして、私なんかの顔を見てたら目が疲れた……とか!?ど、どうしよう……!先輩の負担になるようなことをしてしまうなんてっ!バカバカバカっ!

「なんか、もたなくて」

「もたない?」

「うん。これ、結構やばいかも」

「ヤバい?」

 先輩の言葉に、ぽかぽかと疑問が浮かぶばかりだ。


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