キスしないと出られない部屋
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「はぁ〜。カッコ良すぎるぅ」
とある日の昼下がり、教室の窓際の一番後ろの席でスマホの画面をにやにやと緩んだ顔をしながら見る芽生が幸せそうにそう言った。
お弁当を食べながらスマホを見ている芽生に、紙パックのコーヒー牛乳を飲んでいる真歩が、「はぁ」と大きなため息を吐いた。
「また、アニメかゲームのキャラクター? 飽きないね〜」
アニメやゲームに興味のない真歩は、食べるのを疎かにしてまでスマホをかじりつくように見る芽生に呆れていた。
「飽きるわけないじゃんっ。あたし、小学生の時からこのアニメ好きなんだもんっ」
ぷくっと頬を膨らませながら言う芽生。
「甘奈なら、この気持ち分かってくれるでしょ!?」
「えっ、私?」
突然話しかけられ、言葉に詰まってしまった。
真歩とは、中学からの付き合い。中1の時に、同じクラスでソフトテニス部に所属していたことから仲良くなれた。
芽生とは、高校に入ってからの付き合い。あの日の出来事がなければ、きっと仲良くなることはなかっただろう。