キスしないと出られない部屋

バックハグ



「ごめん、こっちの話」

「そ、そうですか……?」

 ん、と軽く返事をするとぽんぽんと軽く頭を撫でて腕を下ろした。

「次、なんだっけ」

「バックハグ、なんですけど……」

「どうしたの?さっきまでノリノリだったのに、急にテンション下がってない?」

 不思議そうに首を傾げる先輩。

 だって、バックハグって言葉通り後ろからぎゅってしてもらうこと。

 絶対ドキドキするけど、先輩にそんな手を煩わせて良いの…!?

 っていうか、こんなことさせたなんてバレたら私……先輩のファンに殺されない?

 さっきまで色々してもらったけど、ここで終わらせて……この時間を終わらせるべきなのかな。

「天野さん?」

「はっ…!す、すみませんっ。色々考えちゃって!」

「色々?色々って、一体何を考えたの?」

 クス、と笑いながら先輩の手が私の髪に触れ、耳にかけた。


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