キスしないと出られない部屋


「な、な、な、な、なっ……!」

「ふは、反応しすぎだよ」

 クスクスと楽しそうに、からかうように笑う先輩。

 うぅ、恥ずかしい。

「俺、バックハグは知ってるよ。こうーーするんでしょ?」

 話しながら私の背後に回り、先輩の腕が私の身体をぎゅっと抱きしめた。

「っ……!」

 わああっ!

 せ、先輩が私のこと抱きしめてる……!

 このまま天に召されてしまいそう。

 そんな気分だった。

「せ、先輩ーーどうして」

「ん?ごめん。実はさ、妹がいて少女漫画とかよく読んでるからーー今までのことも全部知ってるんだよ」

 えっ、えぇっ!?

 先輩、知らない演技うますぎませんか?


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