その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
リューグはそれを追おうとした。
しかし、その手の中には幼い妹の姿がある。
結果、リューグは命からがら屋敷を脱出し、妹共に生き永らえた。
しかし彼は国と、そして何よりも、何も出来なかった自分が許せなかった。
そんな彼にとって、以来ステイシアはずっと最後に残った宝物でもあり、強い呪いの源にもなったのだ――。
「……リューグ」
「ステイシア……?」
やっとリューグのことを知れた。そんな気がして。
紙安の喉には、小さな小さな掠れ声が戻り、うっすらと目が開かれる。
「もう、いいんです。誰もあなたに復讐などを望んではいないの。……それよりも大事なことは……私たちの願いはあなたが、憎しみに囚われない道を歩んでいくことだから」
ぴしぴしと、呪いの核であった最後の黒曜石が砕けようとしている音がした。
幾度もの繰り返しで、すっかり慣れ親しんだこの世界とも、お別れの気配がした。
今では、元のステイシアと同じくらいに……この人を愛してる自信があるのに。
「自分を許してあげてね……リューグ。あなたの苦しみは、全部私が受け取ったから」
しかし、その手の中には幼い妹の姿がある。
結果、リューグは命からがら屋敷を脱出し、妹共に生き永らえた。
しかし彼は国と、そして何よりも、何も出来なかった自分が許せなかった。
そんな彼にとって、以来ステイシアはずっと最後に残った宝物でもあり、強い呪いの源にもなったのだ――。
「……リューグ」
「ステイシア……?」
やっとリューグのことを知れた。そんな気がして。
紙安の喉には、小さな小さな掠れ声が戻り、うっすらと目が開かれる。
「もう、いいんです。誰もあなたに復讐などを望んではいないの。……それよりも大事なことは……私たちの願いはあなたが、憎しみに囚われない道を歩んでいくことだから」
ぴしぴしと、呪いの核であった最後の黒曜石が砕けようとしている音がした。
幾度もの繰り返しで、すっかり慣れ親しんだこの世界とも、お別れの気配がした。
今では、元のステイシアと同じくらいに……この人を愛してる自信があるのに。
「自分を許してあげてね……リューグ。あなたの苦しみは、全部私が受け取ったから」