その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
「あ……、あぁッ」

 シーツをぎゅっと掴んだリューグがベッドの上に崩れ落ちるのを見て、紙安ももう堪え切れなかった。
 溢れる涙をそのままに彼の背中を抱き、ステイシアとして彼女の最後の想いを伝える。

「今まで、ありがとう……。ずっとあなたが大好きでした、お兄様」

 大きな背中がわなないた。
 寄り添うふたりは互いを抱き締め、大切な者を想う。
 それは間違いなく……世界で最も尊いひと時だった。


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