その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 ところで紙安はてっきり、学園を華々しい成績で卒業したロゼが王妃に選ばれると思っていた。だがその後、彼女はルキスや他の攻略者とも接触せず、困っている人や貧しい人を助けるため流浪のシスターとして世界を回り始めたという。
 物語はどう転ぶか、わからないものだ。

 でも一つだけ確かなのは、紙安の進む道がこの先、リューグと別れることは無いということ。

「大丈夫です。この先は、ステイシアの代わりに私があなたを支えます。約束しましたから……どんなことがあっても、離れません」
「レネ……」

 リューグはやや後ろめたそうに俯いた後、紙安を真剣に見つめて言った。

「お前の人生を、俺が縛ることは出来ない。だが、お前さえよければ、これからも俺と共にステイシアの事を忘れずにいていくれないか?」
「……当たり前じゃないですか!」
「ならば、その……今は未だ無理だが、いずれお前と……」

 リューグは口ごもり、視線を空に逃す。
 心なしか、わずかに頬を赤らめる彼の言葉の続きが聞きたくて、紙安は先を促した。
 
「はい、何でしょう?」
「……いずれ、迷いがなくなった時に言う。そろそろ行こうか」
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