その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 まるで、上質な絹糸をそのまま頭に飾らせたかのような真白の髪。
 そしてここからは見えないが、桜色をした柔らかな眼差し。
 このステイシアの身体に負けず劣らずのきめ細かく、光を弾く肌。
 教会に引き取られた孤児という設定のせいか、纏う空気までどこか静謐だ。

 間違いなく彼女がこの物語の主人公である真珠の晶還士、ロゼ・パールハートその人である。

(ロゼたんやっばぁぁぁぁぁっ……! お人形さんみたいだよぉぉぉ――っ!)

 主人公オーラばりばりのその人に圧倒されながらも入学式の話を聞き流し、紙安はさてこれからどうしようかと考えた。

 この夢は、どうもすんなりとは終わらない予感がする。

(夢の終わりは、ステイシアになった私が学園を退学する時になるのかな? それとも主人公のロゼがエンディングに辿り着くまで続くの? っていうか、私死んだんだよね。終わったら向こうの世界で生き返れるなんて都合のいい事……ない、よね?)

 色々な疑問が頭に浮かぶが、今は圧倒的に情報不足だ。
 あまり考え過ぎないようにして、紙安は式が終わるとさっさと割り振られたクラスへと移動していった。

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