その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 屋敷のことだってよく知らないはず。
 なのに、あれはどこだろうと何かを頭に思い浮かべた瞬間、その答えが出てくる。

(まるで、魂だけが、この身体に移されてしまったみたい……。そんなこと、有り得るのかな)

 本来のこの身体の持ち主の魂は、一体何処へ?
 もし入れ替わろうにも、紙安の身体は恐らく火災で……。

(……わかんないことだらけだ)

 お腹が一杯の状態でこんな考え事をしていたので、頭に血が上った。
 明日まで予定も特にない。
 うつらうつらしつつ、紙安は少しだけ、と思ってテーブルに頬をくっつけ目を閉じた。



 ――――……シア、ステイシア。

 優しい声が耳をくすぐり、意識がほんのわずかに覚醒する。

「ステイシア、居るんだろう? おや……寝てしまったのか」
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