その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~

◆⑤◆

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 それから一カ月以上が過ぎ、紙安は学園生活に馴染んでいた。
 よくない意味で。

「シアちゃん、はいどうぞ。あ~ん!」
「……あふぃがと、ロゼ」

 目の前に、にゅっとフォークを突き出した腕の主は、真白な髪の少女ロゼ。

 午前の授業が終わり次第、紙安は同じクラスとなった彼女に腕を引かれ……。
 こうして晶華学園学生食堂へと連れられて行き、食事をシェアしていた。

 なぜこんなことになったのか。
 端的に言うならば本来発生するべきイベントが発生しなかったためだ。

 紙安の記憶によれば、ステイシアは入学直後からロゼと敵対するはずだった。
 自分に従わないロゼを嫌ったステイシアが、取り巻きと彼女を虐める――そんな定番イベントがメインシナリオに組み込まれているから。
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