その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 それを探しに来たロゼをちくちく言葉で責めていると、ようやくあのルキス殿下が彼女を庇った。

 正直、彼と相対するのは未だ恐怖があった。
 けれど微かな希望をもたらすその姿はまるで救い主のようにも思える。
 紙安は二人の接点が生まれたことに安堵し、記憶にあるステイシアの台詞をなぞる。

「ちっ……。ロゼ、いい気にならないことね。お前みたいなやつがこの晶華学園に居座るなんて、絶対に許さない。いつか、必ず追い出してやるから」
「どうしてあなたは、そこまで……」

 ロゼはそんな自分の顔を、悲しそうな視線で見返してくる。胸が痛い……。
 けれど、これは必要なことなのだと必死に自分に言い聞かせ、紙安はその場を足早に立ち去った。

 それによってようやく物語の歯車が合わさったのだろう。
 ロゼはカイラスやミーシャとの接点を持ち始め、自身の能力を開花させていく。
 反して、紙安は悪事が暴かれ立場は悪化してゆき、そして――。

 二学期の終了目前、校庭で紙安はロゼと向かい合う。
 対決の時だ。

「ここで負けた方が、この学校を辞める。それでいいわね」
「ステイシア……考え直すことは出来ないの?」
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