その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 このシーンはかって、大きく賛否で別れた。ステイシアがもっと卑怯なやり方でロゼを追い詰めなければ悪役として叩きがいが無いとか。
 ロゼの誰かを救おうとする聖女的な性格や、ステイシアが単純な悪役として描かれていないところが真実味があっていいとかファンの間でいろいろ議論が交わされていた。

 しかしまさか自分が渦中の人物として、その舞台に立つことになるなんて。
 複雑な思いで紙安は台本通りの言葉を呟く。

「せいぜい気を付けなさい。光が強さを増す程に、闇もまた大きく姿を現すのよ」

 ああ、そうかと思った。
 この台詞……ゲームをしていた時には気づかなかったけれど。もしかして、ステイシアはこの時点で薄々リューグの目的を察し、いずれロゼの敵として立ちはだかる可能性を示していたのかも……。

 そんな気付きを得ながらも紙安はよろけつつ校庭の外へと向かう。
 ともかくこれで、ステイシアが関わる第二学期までのメインルートはトレース出来たはずだ。

(後は……しばらくどこかで身を隠さないと)

 ゲーム内では、今後一切彼女に対しての描写はない。
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