その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
最初――正規のルートでは、ステイシアは何も知らぬまま隣国に送られ紙安と同じように斬り殺されたはずだ。そして以降繰り返しを行った彼女は何度目かの生でも同じ道筋を辿ったが、そこでは晶還術の副作用で生命力が弱まり、病で短い生涯を終えたと聞いている。
だが今回、それは紙安を呼び寄せたことにより解消されているはず。
(目論見通りにいくようなら、すぐにリューグの目の届かない場所に逃げる準備をしないと……)
日暮れの街の人気のない道。
疲れた体を引きずって屋敷まで戻ろうとする彼女の背中に……。
ドンッ――と、鈍い衝撃が当たった。
「え……っ!?」
隣を誰かが追い越してゆく。
だがそれよりも意識は背中の、激烈な痛みに引き寄せられた。
たまらず紙安はその場に倒れ込む。
「がはっ……」
脇腹辺りを押さえると、ぬるっとした感触。
衣服が赤く染まり、血が……失われてはいけないものがどんどん流れだしてゆく。背中を手を伸ばすと、突き立った冷たい金属で指が切れる。
(刃、物……!? くぅっ……!)
汗が噴き出し、神経が焼き切れそうな痛みを味わいながら、紙安は必死に人を探す。物陰に消えかけていた人物の顔がちらりと見えた。
だが今回、それは紙安を呼び寄せたことにより解消されているはず。
(目論見通りにいくようなら、すぐにリューグの目の届かない場所に逃げる準備をしないと……)
日暮れの街の人気のない道。
疲れた体を引きずって屋敷まで戻ろうとする彼女の背中に……。
ドンッ――と、鈍い衝撃が当たった。
「え……っ!?」
隣を誰かが追い越してゆく。
だがそれよりも意識は背中の、激烈な痛みに引き寄せられた。
たまらず紙安はその場に倒れ込む。
「がはっ……」
脇腹辺りを押さえると、ぬるっとした感触。
衣服が赤く染まり、血が……失われてはいけないものがどんどん流れだしてゆく。背中を手を伸ばすと、突き立った冷たい金属で指が切れる。
(刃、物……!? くぅっ……!)
汗が噴き出し、神経が焼き切れそうな痛みを味わいながら、紙安は必死に人を探す。物陰に消えかけていた人物の顔がちらりと見えた。