その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 機会は……残り三回。
 その内の一回が失われるのは厳しい。
 だが、もしステイシアの視点でカイラスとロゼの行動を見張れば、新たな事実が見えてくる可能性は大きい。

「よし……決めた!」
「何を決めたのだ?」
「ふゃあっ!」

 気が付くと隣にリューグの顔があり、紙安は変な声を出してしまう。
 どうやら思ったより長く考えに浸っていたようだった。

「どうした? 兄には話せない隠し事でもあるのか?」

 少し残念そうに顔を近づけてくる兄リューグに、紙安の心臓は大きく跳ねる。
 いつ見ても……いくら見てもこの胸の高鳴りは治まることは無い。
 くっきりとした目鼻立ちと、意志の強そうな濃紺の瞳。
 それらはいつもは厳しく引き締められていても、ステイシアを見る時だけはやわらかい愛情深さを感じさせてくれる。
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