その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
「もう……十四年ほど前の事だ。アロウマーク家を王家は誅した……。無実であることはわかっていたはずなのに、だ」
無実――その言葉に記憶との食い違いを感じ、紙安は耳を澄ませる。
――当時、フェルメイア王国で起きた、一つの大きな内乱。
王家はそれを止めるために大規模な粛清を行った。
首謀者である一人の侯爵を拷問にかけ、その口から出た多くの人物を捕縛、投獄または直接処断した。
そこまでは合っている。
だがその後にリューグは言った。
その中にいた、リューグの父母たちにおいては無辜であり、反乱には全く荷担していなかったのだと。
「王国の手の者は、旧アロウマーク邸に火を放ち、反乱に加わらなかった我々をも根絶やしにしようとした。命からがら脱出できたのは、私と、当時幼かったステイシア……いや、レネだけだったのだ」
「レネ……レネ? もしや……その娘は! 亡くなったと思われていた、チェリファー侯爵の娘? 生きていたのか!?」
驚くルキスの言葉にリューグは苦々しく頷く。
「……そうだ。聡かったチェリファー侯爵は、反乱が失敗した時のために、自分の赤子をこちらの家に寄せていた。彼は……幼いステイシアが当時赤子の頃に亡くなったことを利用しようと、生前に我が父に命じたのだ。子が亡くなった事を伏せ、もしものことがあれば、自らの子をステイシアとして育てるようにと」
その当時強大な力を持っていたチェリファー侯爵という人物の命令に、配下であったリューグの父、アロウマーク伯爵が逆らう術は無かった。
渋々受け入れたが、赤子に罪は無い。
育てる内に少しずつ情が移り、やがてアロウマーク伯爵夫妻は本当に自分の子供として育てようとした。
無実――その言葉に記憶との食い違いを感じ、紙安は耳を澄ませる。
――当時、フェルメイア王国で起きた、一つの大きな内乱。
王家はそれを止めるために大規模な粛清を行った。
首謀者である一人の侯爵を拷問にかけ、その口から出た多くの人物を捕縛、投獄または直接処断した。
そこまでは合っている。
だがその後にリューグは言った。
その中にいた、リューグの父母たちにおいては無辜であり、反乱には全く荷担していなかったのだと。
「王国の手の者は、旧アロウマーク邸に火を放ち、反乱に加わらなかった我々をも根絶やしにしようとした。命からがら脱出できたのは、私と、当時幼かったステイシア……いや、レネだけだったのだ」
「レネ……レネ? もしや……その娘は! 亡くなったと思われていた、チェリファー侯爵の娘? 生きていたのか!?」
驚くルキスの言葉にリューグは苦々しく頷く。
「……そうだ。聡かったチェリファー侯爵は、反乱が失敗した時のために、自分の赤子をこちらの家に寄せていた。彼は……幼いステイシアが当時赤子の頃に亡くなったことを利用しようと、生前に我が父に命じたのだ。子が亡くなった事を伏せ、もしものことがあれば、自らの子をステイシアとして育てるようにと」
その当時強大な力を持っていたチェリファー侯爵という人物の命令に、配下であったリューグの父、アロウマーク伯爵が逆らう術は無かった。
渋々受け入れたが、赤子に罪は無い。
育てる内に少しずつ情が移り、やがてアロウマーク伯爵夫妻は本当に自分の子供として育てようとした。