その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 正直、色々な感情は湧いてくる。
 この事態が終わった後自分がどうなってしまうのかとか。
 誰かとリューグがくっつくところを見たくないとか。
 でも、それよりも強い意志が今、紙安の胸に定まった。

 この人を救うために最後まで努力しよう。
 そして、二人が一緒に笑い合うところを絶対に見るんだ。
 紙安はにこりと笑顔を浮かべる。

「お兄様、もう大丈夫です。私、頑張りますから!」
「ああ、お前なら立派にできる。そう信じているよ、自慢の妹だからな」

 そう決心し彼女は、肩に掛けてくれたリューグの手を自分の手でそっと包んだ。

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