その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
 その後も、数少ない機会を利用して二人が共に過ごせるように計らう。
 日に日に、ロゼのリューグへの思慕は募っているように思えた。

 そしてロゼの覚醒イベント、聖なる神託がフェルメイア王都にある聖教会の建物で発生した。ロゼは育てられたこの場所で、好感度の高まった相手とお互いの絆を確認し合うのである。

 奥にある聖なる女神像の前で二人は並び、首を垂れる。
 これでロゼに神託が下り、彼女はリューグに対抗するための力を得られるはず。

 だったのだが……そこで、驚くべきことが起きた。

「えっ……!?」
「くっ……?」

 祈りを捧げていた二人の間を切り裂くように、目の前のステンドグラスから一条の光が伸び、床を焼いた。二人は顔を困惑に変えながら、互いを見る。

「ロゼ……」
「リューグさん……あなたは」
「触れるな!」
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