俺様御曹司からは逃げられません!
1st contact
(明日はお母さんのお見舞いに行って……それから、月曜日の工作に使う花紙を買いに行って……あとは……)
後頭部で一つにまとめた黒髪をサラサラと揺らし、宮下楓は駅までの道すがら、明日の予定を思いつくままに並べ立てていた。
パーカーにスキニーパンツという非常にラフな格好は、スーツを着たサラリーマンで溢れかえるビジネス街では明らかに異質だ。しかし、いつものことなので気にしていない。
雲のかかる暗い夜空を見上げて、一つ一つやることを頭の中で積み上げていた、そんな時だった。
「――っ?!」
背中に強い衝撃が走る。
何かが勢いよくぶつかってきたようで、楓は思わず痛みで顔を歪めた。
だが次の瞬間、肩にかけていたトートバッグを思い切り引っ張られ、楓の体がぐらりと揺れた。
突然のことで驚き、目をカッと見開く。
己の身に何が起こっているのか、状況は何一つ分からなかったが、腕からトートバッグが抜かれそうになったところで、本能がそれを死守せねばと察知する。楓は咄嗟にバッグの持ち手にしがみついた。
「どけ!」
「きゃあっ!」
焦燥に駆られた男の声が耳に飛び込んできたと同時に肩を猛烈な勢いで押され、楓の体が勢いよく地面に叩きつけられた。
アスファルトに肌が擦れ、全身がジクジクと痛み出す。身じろぎすら躊躇われるほどだ。
それでも地面に手をつきながらなんとか身を起こして、楓はゆっくりと周囲を見回した。
ぶつかったとみられる男の姿も、楓のバッグもどこにもない。
混乱の極致に至っていた頭が徐々にクールダウンしてきて、一つの答えが導き出される。
(ひったくり……?)
ようやく自身に降りかかった厄災を把握した楓は、呆然とその場にへたり込んだ。
こんなビジネス街のど真ん中で犯罪に巻き込まれるなんて、衝撃的すぎて言葉にならない。
ポカンと口を開けて思考停止状態に陥ってしまう。
後頭部で一つにまとめた黒髪をサラサラと揺らし、宮下楓は駅までの道すがら、明日の予定を思いつくままに並べ立てていた。
パーカーにスキニーパンツという非常にラフな格好は、スーツを着たサラリーマンで溢れかえるビジネス街では明らかに異質だ。しかし、いつものことなので気にしていない。
雲のかかる暗い夜空を見上げて、一つ一つやることを頭の中で積み上げていた、そんな時だった。
「――っ?!」
背中に強い衝撃が走る。
何かが勢いよくぶつかってきたようで、楓は思わず痛みで顔を歪めた。
だが次の瞬間、肩にかけていたトートバッグを思い切り引っ張られ、楓の体がぐらりと揺れた。
突然のことで驚き、目をカッと見開く。
己の身に何が起こっているのか、状況は何一つ分からなかったが、腕からトートバッグが抜かれそうになったところで、本能がそれを死守せねばと察知する。楓は咄嗟にバッグの持ち手にしがみついた。
「どけ!」
「きゃあっ!」
焦燥に駆られた男の声が耳に飛び込んできたと同時に肩を猛烈な勢いで押され、楓の体が勢いよく地面に叩きつけられた。
アスファルトに肌が擦れ、全身がジクジクと痛み出す。身じろぎすら躊躇われるほどだ。
それでも地面に手をつきながらなんとか身を起こして、楓はゆっくりと周囲を見回した。
ぶつかったとみられる男の姿も、楓のバッグもどこにもない。
混乱の極致に至っていた頭が徐々にクールダウンしてきて、一つの答えが導き出される。
(ひったくり……?)
ようやく自身に降りかかった厄災を把握した楓は、呆然とその場にへたり込んだ。
こんなビジネス街のど真ん中で犯罪に巻き込まれるなんて、衝撃的すぎて言葉にならない。
ポカンと口を開けて思考停止状態に陥ってしまう。
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