猫は悪魔(占いおばちゃん鑑定シリーズ3)
「対応策のカードですが・・」

相談者には救いが必要だ。
これからの未来に向けて、勇気づける何か・・

対応策のカード
<10の運命の輪のカード>

「あなたは乗り越える力を持っています。
行動できる人です」

未来を切り開く力がある・・
私は、来栖さんの目をしっかり見た。

「良い運をつかむ、タイミングがあります」

「自分を信じて・・行動をするということですね?」

来栖さんは、少し考えて目を閉じた。

彼女はアラフォーだ。

現実を夢との、区別がつくくらいの経験値もあるはずだ。

「また、何かあったらご相談にのりますよ」

鑑定はこれで終了だ。

私は営業用笑顔を彼女に向けて、クロスの上に展開されたカードを集めた。


「ありがとうございました」
そう言って、席を立った。

人に相談できない、悩みや苦しみを一人で抱えるのはつらい。

占いというツールを通して、
自分の抱える困難さや問題を、言語化することで、
客観視ができ、不安に振り回されなくなる側面もある。

来栖さんを見送った後、
応接間に戻ると、猫がちゃっかりテーブルに上がり、チョコレートの包みのリボンでじゃれている。

私は慌てて、猫を絨毯にブン投げた。

高級チョコレートの箱を開けると、それは光り輝く宝石のよう。

つやつやの美しいチョコレートが、行儀よく並んでいる。

ひとつつまんで口にいれると、ビター、ほろ苦い甘さが舌に溶けた。
< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop