猫は悪魔(占いおばちゃん鑑定シリーズ3)
タロットカードの真実
約束の日時に訪れた来栖さんは、一人ではなかった。
隣にまじめそうな、30代の濃紺のスーツ姿の男性が立っている。
見てくれは、若いダメンズではない。
「あの、こちらは柏木さん。
今、お付き合いしている方で、
私が先生に相性を見てもらいに行くって言ったら、一緒に来たいっていうので」
来栖さんは、幸福感ダダ漏れで、紹介をしてくれた。
「柏木と言います。よろしくお願いいたします」
その男性は、手慣れたように名刺を差し出し、90度きっちり、お辞儀をした。
名刺には、不動産会社の社名と代表取締役の肩書がある。
代表取締役って・・社長ってことだよね・・!
「はい・・あのどうぞ。おあがりください」
私は動揺している所を見せないよう、すぐにスリッパを並べた。
廊下の端、扉の隙間から、
猫が「誰が来たのか?」と顔を覗かしている。
この猫は男性が嫌いなので、すぐにリビングに引っ込んだ。
「前に先生の所に伺った、次の日なのですけど・・」
座るとすぐに、来栖さんは前回の相談の結果を説明してくれた。