猫は悪魔(占いおばちゃん鑑定シリーズ3)
じんわりと嬉しさがこみあげてくる。

「ああ、ありがとうございます。
どうぞ、お茶を入れますね」

私は彼女のために用意した、ジノリのティーセットをテーブルに置いた。

「失礼します」
来栖さんは、礼儀正しく言い、私の対面に座った。

彼女の今日のファッションは、紺のシンプルなワンピース、バック、
手に持つストールもどこぞのブランドらしく、高級感がある。

セミロングの少し茶がかった髪は、ゆるくウェーブがかかり、柔らかな女性らしさを演出している。

彼女の天性のおっとりとした雰囲気は、どこぞの女性雑誌にでてくるような、

<週末は外車で、郊外の高級フレンチに夫婦で行きます>という、高収入の旦那の隣に立つ若奥様のようだ。

「今日は、どのようなご相談ですか?」

来栖さんは、繊細なピンク色で彩られたネイルの指先を、軽く頬に触れた。

「彼が・・浮気をしているようなんです」
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