茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
そして百子はしゃくりあげ、陽翔につられて号哭した。それに気づいたのか、陽翔も彼女の頭をゆるゆると撫でる。しばらく二人で抱き合い、互いが互いを慰め、二人は同時に勢い良く鼻をかんだ。
「百子……ありがとな……恥ずかしかったけど、百子が抑圧しないでって言ってくれたから……そうしたらどうしても耐えられなかった……俺、かっこ悪いよな……」
「何言ってんのよ! そんな訳ないでしょ?! 悲しくて泣くのは当たり前よ! ほらまたそうやって自分の気持ちを否定してる……私は陽翔が泣きじゃくっても嫌いにならないのに」
百子は人差し指と親指で輪を作り、それを彼の額に向けて人差し指を強く弾く。
「いてえ……何でデコピンなんだよ……」
パチンという音がして、彼は額を思わず擦る。大して痛くはないのだが、百子からデコピンをされるとは思わず、驚きの方が大きかった。
「もう! 気持ちを抑えるなって教えてくれたのは陽翔の方なのに! なのに何で陽翔はそれを自分に言ってあげられないの?」
「それは……」
陽翔は言い淀んだが、尻目を百子に向けた。
「いや、百子だってそうだろ。百子だって俺に辛いことを言わずに隠してただろうが」
今度は百子がたじろぐ番だった。左右に瞳を泳がせる彼女を見て、彼は小さく吹き出す。
「俺達、似た者同士なんだな」
「……そうみたい」
彼につられて百子も微笑むと、ふと陽翔は体を傾けて口づけした。
「まさか俺が苦しかったのが、自分を責めてるからだったなんてな……俺一人じゃ気付なかった……ありがとな、百子」
「私は陽翔の言葉に何で? って聞き続けただけよ。それで陽翔が苦しみから解放されたのなら良かったわ。本当に溜め込むのって良くないわね。溜め込む気持ちは分かるんだけども」
百子は首を振ったが、彼の首に手を回して口づけを返す。
「じゃあ俺もそうする。百子が辛い時は何で辛いかを聞いて、その思いから解放できるように手伝うから……百子も俺に隠すなよ? 隠そうとしたらこうしてやる」
陽翔はそう言うが早いか、百子を再び膝の上に乗せて唇を性急に奪う。先程までしていた唇を合わせるだけのキスではなく、舌で彼女の唇を、歯をこじ開けて肉厚のそれをするりと彼女の舌に絡ませた。百子は少しだけ体を跳ねさせて小さく呻くが、彼の腕にしがみついて舌を動かして応える。丹念に頬の内側や歯列、舌の裏までなぞられた百子は、彼に負けじと自分の舌を彼の口腔に踊らせる。唇を離すと陽翔のニヤリとした瞳と目が合い、次の瞬間百子の目の前はぼやけた白が一面に広がってしまっていた。
「百子……ありがとな……恥ずかしかったけど、百子が抑圧しないでって言ってくれたから……そうしたらどうしても耐えられなかった……俺、かっこ悪いよな……」
「何言ってんのよ! そんな訳ないでしょ?! 悲しくて泣くのは当たり前よ! ほらまたそうやって自分の気持ちを否定してる……私は陽翔が泣きじゃくっても嫌いにならないのに」
百子は人差し指と親指で輪を作り、それを彼の額に向けて人差し指を強く弾く。
「いてえ……何でデコピンなんだよ……」
パチンという音がして、彼は額を思わず擦る。大して痛くはないのだが、百子からデコピンをされるとは思わず、驚きの方が大きかった。
「もう! 気持ちを抑えるなって教えてくれたのは陽翔の方なのに! なのに何で陽翔はそれを自分に言ってあげられないの?」
「それは……」
陽翔は言い淀んだが、尻目を百子に向けた。
「いや、百子だってそうだろ。百子だって俺に辛いことを言わずに隠してただろうが」
今度は百子がたじろぐ番だった。左右に瞳を泳がせる彼女を見て、彼は小さく吹き出す。
「俺達、似た者同士なんだな」
「……そうみたい」
彼につられて百子も微笑むと、ふと陽翔は体を傾けて口づけした。
「まさか俺が苦しかったのが、自分を責めてるからだったなんてな……俺一人じゃ気付なかった……ありがとな、百子」
「私は陽翔の言葉に何で? って聞き続けただけよ。それで陽翔が苦しみから解放されたのなら良かったわ。本当に溜め込むのって良くないわね。溜め込む気持ちは分かるんだけども」
百子は首を振ったが、彼の首に手を回して口づけを返す。
「じゃあ俺もそうする。百子が辛い時は何で辛いかを聞いて、その思いから解放できるように手伝うから……百子も俺に隠すなよ? 隠そうとしたらこうしてやる」
陽翔はそう言うが早いか、百子を再び膝の上に乗せて唇を性急に奪う。先程までしていた唇を合わせるだけのキスではなく、舌で彼女の唇を、歯をこじ開けて肉厚のそれをするりと彼女の舌に絡ませた。百子は少しだけ体を跳ねさせて小さく呻くが、彼の腕にしがみついて舌を動かして応える。丹念に頬の内側や歯列、舌の裏までなぞられた百子は、彼に負けじと自分の舌を彼の口腔に踊らせる。唇を離すと陽翔のニヤリとした瞳と目が合い、次の瞬間百子の目の前はぼやけた白が一面に広がってしまっていた。