茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
その次の日もしっかり休養し、料理や掃除を陽翔と分担しながら、彼と皮肉の応酬をしていた百子は、すっかり体調がよくなった。三連休をこれほどありがたいと思ったことはないかもしれない。相変わらず弘樹からは数十件くらいのメッセージが来ており、百子が関係を終わらせたい旨を伝えても全くあちらの態度は変わらない。あの家の名義は弘樹だが、家賃は百子の方が多く支払っているので、単に家賃の支払いに困っているのだろうが、迷惑なことこの上なかった。
とはいえ、発表の準備もつつがなく終わらせることができたのは、ひとえに陽翔のおかげである。そして次の日の発表も成功させることができ、プロジェクトのメンバーとの打ち上げも盛り上がった。2次会の提案もあったがやんわりと断り、皆と解散して少し歩くと、そこには考えないようにしている人物がおり、気分良く酔っていたというのにそれらは瞬時に消し飛んでいった。
「おい、百子! 何で家に帰ってこないんだ! あれだけメッセージ送ったのに返事もしねえし、どこをふらついてんだよ!」
せっかく幸せな気分になっていたというのに、元彼のせいで全部台無しである。しかも浮気をしておいてよくもしゃあしゃあとそんなことを言えたものだなと、彼の身勝手にはほとほと呆れてしまう。
「……別にいいじゃない。私達、もうそんな関係じゃないんだし。荷物は少しずつ運ぶから安心して。1ヶ月以内に全部終わらすから。貴方とは事務的なやり取りしかするつもりはない。デキない私のことは放っておいて、さっさとあの彼女さんと仲睦まじく営めばいいじゃないのよ」
酔っているせいでいつもよりも明け透けになっている百子に、弘樹はやや怯んだものの、早口で言い募った。周りがざわつこうがお構いなしである。
「あいつは3時のおやつだ! 本命はお前だ! あいつは2番手でもいいって言ってたのに、何でお前はあの時に早く帰ってきたんだよ! あれがなければこんなことにはならなかったのに!」
(……この人は何を言ってるのかしら。まさか自分がしたことも分かってないというの?)
百子は煮えたぎる怒りを感じているはずなのに、どこか心は冷めていった。以前はこんな身勝手なことを平気で言うような人ではなかったので、これが弘樹の本性だったとは想像もできなかったのだ。まさしく豹変したと言うに等しい。そしてそんな人間を好きになった自分にも怒りを覚えた。
「悪かったわね、愛を育んでる途中に邪魔して。良かったじゃないの。ちゃんと夜の営みができる彼女ができたんだから。私とはできないって半年くらい前に言ってたくせに。貴方とは別れます。もう連絡してこないで。迷惑なのよ」
とはいえ、発表の準備もつつがなく終わらせることができたのは、ひとえに陽翔のおかげである。そして次の日の発表も成功させることができ、プロジェクトのメンバーとの打ち上げも盛り上がった。2次会の提案もあったがやんわりと断り、皆と解散して少し歩くと、そこには考えないようにしている人物がおり、気分良く酔っていたというのにそれらは瞬時に消し飛んでいった。
「おい、百子! 何で家に帰ってこないんだ! あれだけメッセージ送ったのに返事もしねえし、どこをふらついてんだよ!」
せっかく幸せな気分になっていたというのに、元彼のせいで全部台無しである。しかも浮気をしておいてよくもしゃあしゃあとそんなことを言えたものだなと、彼の身勝手にはほとほと呆れてしまう。
「……別にいいじゃない。私達、もうそんな関係じゃないんだし。荷物は少しずつ運ぶから安心して。1ヶ月以内に全部終わらすから。貴方とは事務的なやり取りしかするつもりはない。デキない私のことは放っておいて、さっさとあの彼女さんと仲睦まじく営めばいいじゃないのよ」
酔っているせいでいつもよりも明け透けになっている百子に、弘樹はやや怯んだものの、早口で言い募った。周りがざわつこうがお構いなしである。
「あいつは3時のおやつだ! 本命はお前だ! あいつは2番手でもいいって言ってたのに、何でお前はあの時に早く帰ってきたんだよ! あれがなければこんなことにはならなかったのに!」
(……この人は何を言ってるのかしら。まさか自分がしたことも分かってないというの?)
百子は煮えたぎる怒りを感じているはずなのに、どこか心は冷めていった。以前はこんな身勝手なことを平気で言うような人ではなかったので、これが弘樹の本性だったとは想像もできなかったのだ。まさしく豹変したと言うに等しい。そしてそんな人間を好きになった自分にも怒りを覚えた。
「悪かったわね、愛を育んでる途中に邪魔して。良かったじゃないの。ちゃんと夜の営みができる彼女ができたんだから。私とはできないって半年くらい前に言ってたくせに。貴方とは別れます。もう連絡してこないで。迷惑なのよ」