茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
百子はしょんぼりとして下を向いていたが、美咲はあっけらかんと言ってのけた。
「ちゃんと自分の気持ちを伝えれば良かったんじゃない? ももちゃんが今は言いたくない理由を言って、いついつになったら話すよとか言えばその人も安心したんじゃないかな。だってももちゃんって今は誰が見ても心配するような事情を抱えてるんだから、その人もすごくももちゃんが心配だったと思うよ。だからって彼も意地悪するのもどうかと思うけど、ももちゃんが何も打ち明けなくて不安だったんじゃないかな。単にお互いが気を遣った結果そうなっただけだと思うよ」
百子はあの時の陽翔の険しい表情の中に、悲しみも混じっていたなと今になって思い出した。そして申し訳無さもこみ上げてくる。彼の抱える不安は、もし百子が逆の立場になったら感じてしまうと想像がついたからだ。
「そっか……ちゃんと言えばよかったのね。確かに東雲くんは心配してくれてたのかも」
「本音は言わないと伝わらないよ。例えそれが夫婦でもね。ちゃんと話し合ったら、実は勘違いしてただけのこともあるし。むしろそれを避けてたらしんどいと思うな。我慢して我慢して、それが爆発したら自分も相手も大変だもん。一度話し合ってみたらどう?」
既婚者である美咲の言葉は妙に説得力があり、思わず百子は感謝の言葉がするりと口から出てきたのと、自然に頭が下がった。美咲は大げさだと言って両手を振っていたが、百子は帰ったらきちんと陽翔に謝罪して、自分の気持ちを伝えようと心に決めた。
「……うん、ちゃんと話し合うことにする。このままじゃ駄目だし。よく考えたら元彼とは話し合いにすらならなかったから、失敗して当然だわ。ちょっと勇気がいるけど……がんばってみる」
美咲はそれを聞いて満足そうに頷いた。そろそろ昼休みも終わるので、美咲には朝に買ってきたクッキーを渡してしてデスクに戻り、スマホに来ていた陽翔からのメッセージを確認する。百子への謝罪の言葉と、話したいことがあるとのメッセージが踊っており、しかもそれが百子が家を出て間もない時間に送信されていたのを見て、慌てて百子も彼への謝罪と、やはり話したいことがあるとメッセージを送る。返事はすぐに来て、今度は百子の会社の最寄り駅を教えて欲しいと言われたので、それだけ返信して仕事に取り掛かった。
「ちゃんと自分の気持ちを伝えれば良かったんじゃない? ももちゃんが今は言いたくない理由を言って、いついつになったら話すよとか言えばその人も安心したんじゃないかな。だってももちゃんって今は誰が見ても心配するような事情を抱えてるんだから、その人もすごくももちゃんが心配だったと思うよ。だからって彼も意地悪するのもどうかと思うけど、ももちゃんが何も打ち明けなくて不安だったんじゃないかな。単にお互いが気を遣った結果そうなっただけだと思うよ」
百子はあの時の陽翔の険しい表情の中に、悲しみも混じっていたなと今になって思い出した。そして申し訳無さもこみ上げてくる。彼の抱える不安は、もし百子が逆の立場になったら感じてしまうと想像がついたからだ。
「そっか……ちゃんと言えばよかったのね。確かに東雲くんは心配してくれてたのかも」
「本音は言わないと伝わらないよ。例えそれが夫婦でもね。ちゃんと話し合ったら、実は勘違いしてただけのこともあるし。むしろそれを避けてたらしんどいと思うな。我慢して我慢して、それが爆発したら自分も相手も大変だもん。一度話し合ってみたらどう?」
既婚者である美咲の言葉は妙に説得力があり、思わず百子は感謝の言葉がするりと口から出てきたのと、自然に頭が下がった。美咲は大げさだと言って両手を振っていたが、百子は帰ったらきちんと陽翔に謝罪して、自分の気持ちを伝えようと心に決めた。
「……うん、ちゃんと話し合うことにする。このままじゃ駄目だし。よく考えたら元彼とは話し合いにすらならなかったから、失敗して当然だわ。ちょっと勇気がいるけど……がんばってみる」
美咲はそれを聞いて満足そうに頷いた。そろそろ昼休みも終わるので、美咲には朝に買ってきたクッキーを渡してしてデスクに戻り、スマホに来ていた陽翔からのメッセージを確認する。百子への謝罪の言葉と、話したいことがあるとのメッセージが踊っており、しかもそれが百子が家を出て間もない時間に送信されていたのを見て、慌てて百子も彼への謝罪と、やはり話したいことがあるとメッセージを送る。返事はすぐに来て、今度は百子の会社の最寄り駅を教えて欲しいと言われたので、それだけ返信して仕事に取り掛かった。