茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
☆R15
「え、ちょっと、何で?」
百子がキョロキョロとしたところで、目の前の青い闇は霧散しない。だが自分の後頭部に僅かに締め付けられる感触と、衣擦れの音が耳に入ったことで、百子は陽翔に何をされたのかがようやく飲み込めた。
「東雲くん! 何を……んんっ!」
そして青い闇の原因を振りほどこうと両手を後ろに持っていったのだが、それを察した彼に両手首を捕まれ、彼の手で押さえつけられてしまう。抗議しようとした百子が口を開くも、彼の唇が塞ぎにかかった。そのまま彼の舌が百子の舌を、歯列を、上顎を這いまわり、逃げ腰になっていた舌を熱心に絡める。
「だめったら! 東雲くん!」
彼の舌の熱が、唾液が絡むと百子はふわふわとした心地に身を委ねそうになったが、今回ばかりは彼に乗せられるわけには行かなかった。唇が離れた隙をついて、百子は陽翔の額に自分の額をぶつける。骨と骨のぶつかる小さな音が鳴ると、百子の両手の拘束が緩んだので、陽翔の手を振りほどく。そして青い闇に手をかけた。
「……そんなに嫌だったのか? 目隠し」
青い闇が取り去られると、陽翔が肩を落として自分の額をさすっているのが目に入った。大した威力ではないが、彼を驚かせるには十分だったらしい。
「違うわよ! そっちじゃないわ! 目隠しするならこのネクタイはだめよ! だってこれ絹じゃないの! 絹は摩擦に弱いから、こんな扱いしちゃだめなのに! しかも東雲くんが今履いてるそのスラックスだって、その辺の安物でもなさそうだし! シワになったらどうすんのよ!」
百子の思わぬ剣幕に、陽翔は額から手をどけて目をぱちくりさせた。
「……すまん、百子……」
「謝る相手を間違ってるわよ! 謝るなら乱雑な扱いをしたネクタイとスラックスでしょう!」
彼女がここまでガミガミしたところを陽翔は見たことが無いのでたじたじとしていたが、陽翔はネクタイとスラックスに謝罪の言葉を述べる。そしてズボンを吊るすために立ち上がり、部屋のクローゼットの前に立ち、ベルトを外してズボンを脱ぐと、背中に柔らかく温かいものが触れた。そして彼女の両手が腰に回される。そして回された両手はシャツ越しに腹筋を、胸筋をゆっくりと撫で回しており、彼は彼女の手と背中に当たっている2つの柔らかい感触を認めて全身の血潮が滾るのを感じた。
「百子?」
「……さっきは怒ってごめん」
気落ちした声がぼそりと聞こえたので、陽翔は気にしていないと首を振る。彼女をどれだけ愛しているかを行動で示そうとした陽翔だったが、彼女の発言で状況も考えるべきだと感じたからだ。
百子がキョロキョロとしたところで、目の前の青い闇は霧散しない。だが自分の後頭部に僅かに締め付けられる感触と、衣擦れの音が耳に入ったことで、百子は陽翔に何をされたのかがようやく飲み込めた。
「東雲くん! 何を……んんっ!」
そして青い闇の原因を振りほどこうと両手を後ろに持っていったのだが、それを察した彼に両手首を捕まれ、彼の手で押さえつけられてしまう。抗議しようとした百子が口を開くも、彼の唇が塞ぎにかかった。そのまま彼の舌が百子の舌を、歯列を、上顎を這いまわり、逃げ腰になっていた舌を熱心に絡める。
「だめったら! 東雲くん!」
彼の舌の熱が、唾液が絡むと百子はふわふわとした心地に身を委ねそうになったが、今回ばかりは彼に乗せられるわけには行かなかった。唇が離れた隙をついて、百子は陽翔の額に自分の額をぶつける。骨と骨のぶつかる小さな音が鳴ると、百子の両手の拘束が緩んだので、陽翔の手を振りほどく。そして青い闇に手をかけた。
「……そんなに嫌だったのか? 目隠し」
青い闇が取り去られると、陽翔が肩を落として自分の額をさすっているのが目に入った。大した威力ではないが、彼を驚かせるには十分だったらしい。
「違うわよ! そっちじゃないわ! 目隠しするならこのネクタイはだめよ! だってこれ絹じゃないの! 絹は摩擦に弱いから、こんな扱いしちゃだめなのに! しかも東雲くんが今履いてるそのスラックスだって、その辺の安物でもなさそうだし! シワになったらどうすんのよ!」
百子の思わぬ剣幕に、陽翔は額から手をどけて目をぱちくりさせた。
「……すまん、百子……」
「謝る相手を間違ってるわよ! 謝るなら乱雑な扱いをしたネクタイとスラックスでしょう!」
彼女がここまでガミガミしたところを陽翔は見たことが無いのでたじたじとしていたが、陽翔はネクタイとスラックスに謝罪の言葉を述べる。そしてズボンを吊るすために立ち上がり、部屋のクローゼットの前に立ち、ベルトを外してズボンを脱ぐと、背中に柔らかく温かいものが触れた。そして彼女の両手が腰に回される。そして回された両手はシャツ越しに腹筋を、胸筋をゆっくりと撫で回しており、彼は彼女の手と背中に当たっている2つの柔らかい感触を認めて全身の血潮が滾るのを感じた。
「百子?」
「……さっきは怒ってごめん」
気落ちした声がぼそりと聞こえたので、陽翔は気にしていないと首を振る。彼女をどれだけ愛しているかを行動で示そうとした陽翔だったが、彼女の発言で状況も考えるべきだと感じたからだ。