私の幸せ
「……俺さ、寂しかったんだよな。一目惚れした相手がずっと別の奴を見てるんだから」
綾人の声が耳元で響く。詩織は綾人の手を振り解こうとするものの、できなかった。まるで蜘蛛の糸のように綾人の手は詩織を拘束している。
「なぁ、そろそろ俺のことも見ろよ。今までずっと見てきたんだからさ」
それは告白だ。しかし、それを詩織は喜ぶことはできない。綾人のことは同僚以前に苦手意識がある。
「……無理。あんたとは付き合えない。離して」
淡々と詩織は言い放つ。綾人の告白のおかげで涙はすっかり止まってしまった。これで仕事に集中できる。そう詩織が思ったのも束の間のことだった。
「な、に……?」
突然、詩織の体の力が抜けた。目の前がぼやけていく。すると「やっと効いてきたか、薬」と綾人の嬉しそうな声が聞こえ、キャスター付きの椅子が動いていく。グルリと椅子が回ると、詩織のぼやける視界の中に綾人が映った。彼は今、恍惚の笑みを浮かべている。
綾人の声が耳元で響く。詩織は綾人の手を振り解こうとするものの、できなかった。まるで蜘蛛の糸のように綾人の手は詩織を拘束している。
「なぁ、そろそろ俺のことも見ろよ。今までずっと見てきたんだからさ」
それは告白だ。しかし、それを詩織は喜ぶことはできない。綾人のことは同僚以前に苦手意識がある。
「……無理。あんたとは付き合えない。離して」
淡々と詩織は言い放つ。綾人の告白のおかげで涙はすっかり止まってしまった。これで仕事に集中できる。そう詩織が思ったのも束の間のことだった。
「な、に……?」
突然、詩織の体の力が抜けた。目の前がぼやけていく。すると「やっと効いてきたか、薬」と綾人の嬉しそうな声が聞こえ、キャスター付きの椅子が動いていく。グルリと椅子が回ると、詩織のぼやける視界の中に綾人が映った。彼は今、恍惚の笑みを浮かべている。