私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「なんにしようかな……」

私の休憩時間は十一時からと早いので、カフェテリアにはあまり学生がいない。
ちなみに勤務時間は八時半から十五時半までと少し短めだ。

今日はAランチがエビフライとハンバーグのセットだったので、それにした。
料理を受け取り、窓際の席にふたりで座る。

「安くて美味しいなんて、もう神だよね」

「そうですね」

それでもお給料からすると毎日カフェテリア通いはかなり生活に痛そうだが、彼女は実家住みらしいので大丈夫みたいだ。

「そうだ。
島西さんに相談したいことがあって」

「ん?
なになに?
仕事の相談はちょっと乗れないぞ。
なんていったって城坂さんはもう、うちのエースなんだしさ」

からかうように彼女が笑う。
上司がなにかと私の仕事ぶりを褒めるので、以前からいるスタッフの一部には私の評価は悪かった。
しかし、島西さんは嫌みや妬みではなく、冗談にして笑い飛ばしてくれる。
彼女のそういうところに好感を持っていた。

「その。
炯さんになにかプレゼントしたいんですけど、なにがいいんでしょう……?」

別に昨日、スミさんからもらった助言に不満があるわけではない。
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