私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
話しかけられて見上げると、ベーデガー教授がトレイを手に立っていた。
「ここ、いいかい?」
にっこりと笑い彼は、私の隣の席を指した。
「どうぞ、どうぞ」
私はなにも言っていないのに島西さんが許可を出し、彼がそこに座る。
さらに。
「私、もう食べ終わったし、先行くねー」
「あ……」
意味深に島西さんは私に片目をつぶってみせ、止める間もなく去っていった。
いや、絶対、面白がっていますよね?
『それで。
なんの話をしていたんだい?』
食べながら教授が聞いてくる。
これは私も残りをさっさと食べて退散……とかは無理そうだ。
『あの。
婚約者にちょっとしたプレゼントをしたいけれど、なにがいいかな、って』
ことさら、婚約者と強調する。
『凛音に婚約者なんていたんだ?』
しかし、華麗にすっとぼけられた。
確かに彼との会話の中でその話はしていないが、左手薬指に指環が嵌まっている時点で、特定のパートナーがいるのはわかりますよね?
『ふーん。
それって僕より、いい男?』
興味なさそうに言い、彼は食事を続けている。
けれどそこはかとなく嫉妬のようなもを感じるのは気のせいだろうか。
「ここ、いいかい?」
にっこりと笑い彼は、私の隣の席を指した。
「どうぞ、どうぞ」
私はなにも言っていないのに島西さんが許可を出し、彼がそこに座る。
さらに。
「私、もう食べ終わったし、先行くねー」
「あ……」
意味深に島西さんは私に片目をつぶってみせ、止める間もなく去っていった。
いや、絶対、面白がっていますよね?
『それで。
なんの話をしていたんだい?』
食べながら教授が聞いてくる。
これは私も残りをさっさと食べて退散……とかは無理そうだ。
『あの。
婚約者にちょっとしたプレゼントをしたいけれど、なにがいいかな、って』
ことさら、婚約者と強調する。
『凛音に婚約者なんていたんだ?』
しかし、華麗にすっとぼけられた。
確かに彼との会話の中でその話はしていないが、左手薬指に指環が嵌まっている時点で、特定のパートナーがいるのはわかりますよね?
『ふーん。
それって僕より、いい男?』
興味なさそうに言い、彼は食事を続けている。
けれどそこはかとなく嫉妬のようなもを感じるのは気のせいだろうか。