私にワルイコトを教えたのは政略結婚の旦那様でした
「わるい、わるい。
なんか妹みたいで可愛くってさー」

まったく悪いと思っていないようで、彼は笑いながらストローを咥えている。
そのタイミングでハンバーガーが届いた。

「じゃあ。
いただきます」

包み紙を剥き、大きく口を開けかけて躊躇した。
こんなの、凄くはしたないよね。
でも、周囲はなんでもないように食べていて、これはここでは普通なのだと理解した。
それに、それに憧れてきたのだ。
覚悟を決め、口を大きく開いたつもりだったが、まだまだ小さかったらしく、口に入ってきたのはほんの少しのパンだった。

「そんなお上品にしてたら、食べられないぞ」

まるで見本を見せるかのように、コマキさんが豪快にハンバーガーにかぶりつく。
そうだよね、こんなところで気にしてちゃダメだ。
今度こそ、コマキさんをまねてハンバーガーに噛みついた。

「どうだ、お味は?」

「んー、美味しい?
なんか癖になりそうな感じがします」

きっといつも食べている、一流シェフが作るハンバーグのほうが何倍も美味しいのだろう。
しかしこのチープさが、なんともいえない。

「気に入ってもらえたんならよかった」

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